舞「ゆ、悠真……?なんでそんな…」

思わず近づくと

悠真「近づくな。こっちに来るな」
舞「……っ!」
悠真「昔の話なんて聞くつもりはないから。用が済んだなら戻ってくれる」
舞「どうしたの…?」
悠真「どうしたもこうしたもないから」

”悠真じゃない”私はそう思ってしまった

舞「そんなこと言わないでよ、私に話して…」
悠真「アンタに話して何かなるの?俺はアンタに用はない」
舞「…え?」

そう言うとスタスタ歩いて行ってしまった

明凛「あーっ!舞!こんなところにいた!授業出ないで、どうしたのよ?」
舞「あ、明凛…」
明凛「舞、顔が真っ青…本当に何があったの?」
舞「この学校での伊野田悠真ってどんな人?」
明凛「え…?それは、なんか…」
海咲「いつも一人で態度も素っ気ない、近寄り難い人かなぁ」
舞「海咲……」
海咲「昔のことは知らないけど、この学校での伊野田くんはそんな感じよ」
明凛「そうそう。でも、隠れファンとかいるんだよね。ほら、伊野田くんってイケメンだし成績優秀だから」
舞「そっか……」

昔の面影は一切ない悠真の姿を思い出して、その場に崩れ落ちた

明凛「ちょっと!舞?!」
海咲「先生呼んでくる!」

ー数時間後ー

舞「……ん?」
?「あら、目が覚めた?」
舞「え、えぇっ?!ここどこ?!」
?「そんな元気なら大丈夫かしらね。ここは保健室よ、お友達が連れてきてくれてね」
舞「なんで…?そういえば、頭痛い…」
先生「大丈夫?まだ休んでいっていいからね」
舞「ありがとうございます…」
先生「転校生、よね?疲れが出ちゃったかしら…?」
舞「そうでしょうね…。ありがとうございました。失礼します…」

なんとも言えない気持ちで私は保健室を後にした

明凛「舞、大丈夫?はいこれ」

親切に明凛はお茶を渡してくれた

舞「ありがとう。なんか初日から迷惑かけてごめんね…」
明凛「いいのよ!友達だし!気にしないで♪」
舞「明凛…ありがとう」

廊下を歩いていると黄色い声援が聞こえてきた

舞「…?」
明凛「またか。ここの学校ってイケメン多いじゃん?だからなんかいつも総選挙みたいなのやってるんだよね〜」
舞「ふふ、自由な学校だね」
明凛「今の1位は…?」
舞「伊野田悠真…………」

二人の間に沈黙の時間が流れた

舞「なんでここで悠真の名前が出るの?」
明凛「隠れファンの影響かもね」
舞「それ隠れファンって言う?!表に出ちゃってるじゃん!」
明凛「あはは〜」

生徒A「悠真くんって本当にイケメン…」
生徒B「私、振られちゃったぁ……」

なんていうthe青春な会話が聞こえる

舞「みんなも物好きだね」
明凛「無理して笑わなくていいのに、舞」
舞「だって笑えてくるじゃん…。昔の悠真じゃないんだもん…。私の知らない人だった…」

辛いことを言葉に出すと人は涙が出てくるのか
私は大泣きしていた

明凛「舞……」

悠真「…………めんどくさ」