「足、揉んで。」


少し離れたソファーの上で 俯せになりながら雑誌を読む和音 (かずね) に向かって脚を持ち上げてみる。


何も言わずゆっくりと目線を雑誌から私の顔へと移し、それからまたゆっくりと私の脚へと目線を移す和音。


「…疲れたの?」


和音はそう言うと、まためんどくさそうに雑誌に視線を戻した。



「疲れた!」



さっきより少しだけ声のボリュームを上げてそう言うと、和音はまた私の顔を見た。



その澄んだ瞳に 今の私はどんな風に映っているんだろう



自分でも処理し切れないこの感情は何と呼ぶんだろう



そして



何故涙が溢れてくるんだろう。


いつもの 気怠そうな和音の表情が変わるのと同時に、私達の関係も変わって行くのを感じた。


始まりか 終わりか



和音はどっちを選ぶ?