【短編】大好きだから。




駅へと続く桜並木をいつもよりだいぶ速いスピードで歩く柴山。


靴を履き替える時にもそのままだった彼に掴まれた私の手首。


柴山に触れられている手からジンジン熱くなっていく。



「なんで怒っているの?」



ずっと無言なのが気まずく思い、頑張って発した一言。


柴山はピクっと肩を動かし、不意に止まった。


突然だったから柴山にぶつかっちゃったじゃん。



「日奈子、本気で言ってんの?」



久々に呼ばれた私の名前。


胸のドキドキが速くなっていく。


何なの。私らしくない。



「うん」



はぁ。と大きなため息をつき、私の手を離した柴山。


そのまま近くにあるベンチに座った。



私もつられて少し距離を置いて座る。