それでもキミが好きなんだ



「いやー、まあ、俺にはナツがいるし?」


「はあ?そこは琴音でしょ」


なんで私の名前なんて出すの?


サキはそんなつもりがなくても私の心は正直だからバカみたいに期待しちゃうんだよ。


恋なんて、そんなものだ。

期待して裏切られての繰り返しだけど、どうやっても期待しないことなんてできない。


片想いだろうが、両想いだろうがそんなの関係なく、恋は楽しいものでもあり、悲しいものでもあると思う。


恋の嫉妬が時に人の人生を狂わすことだってあるのだから、それほど愛というものは奥が深い。


「だって、ナツは俺の専属教師だろ?」


当たり前かのようにいうサキ。


何年前の話だよ……と言いたいところだけど今もサキがそんなことを言ってくれていることに胸を踊らす。


「あー、テスト期間はずーっと迷惑電話がかかってきてたもんね」


毎日、毎日電話をかけてきては勉強もしながらお互いどうでもいいような話をして結局三時間ほど話していた日々が三年前のことなんて考えられないほど鮮明に覚えている。


「迷惑電話じゃねーし!」


「ふふっ、私がお風呂に入ってて電話に出られなかったら五件くらい連続でかけてきたくせによく言うよ」


完全に迷惑電話じゃん、と笑えばサキはまだ反論してきた。


「あれはお前が風呂で溺れてねぇか心配になってかけてやったんだよ」


「はいはい、それはどうもありがとうございました」


これ以上、口論していても埒(らち)が明かないのはもう分かりきっているから無理やり会話を終わらせた。