それでもキミが好きなんだ



「はいよ。あ、俺にも一口ちょうだい」


サキは照れる様子もなくそう言うと私の手からサイダーを奪い取り、ゴクリと一口だけ飲んだ。


……間接キス。


そんなことでドキドキしてしまっているのはきっと私だけで、サキは何も思っていないし何も考えていないんだろうな。


「どう?美味しい?」


「相変わらず最高だな」


「あのラムネが恋しくなるね」


今もあの駄菓子屋さんはあるのだろうか。
あるのなら、そこでラムネを買ってから海へ行って潮風に当たりたい。


「だなー。最近全然飲んでねーわ」


「また飲みたいね」


何気なしに言った言葉だったけど、声にしてからハッと気づいた。サキには琴音がいるのに誘ってしまっているように聞こえてしまったかな?


どうしようかと焦っていたら上から穏やかな声が降ってきた。


「まだ春だから夏にお預けだなー」


サキは、何も気にしていないんだろうか。

それとも、私が過剰に反応して気にしすぎているだけなんだろうか。


「その前にテストを乗り切らなきゃ」


「俺、今回マジでヤバい」


「さっきまで覚醒したとか言ってた人か何いってんの」


私の言葉に、しまった、とでも言いたげに後頭部を触ったサキ。


本当にわかりやすい。まあ、覚醒したなんて冗談だってことくらい分かってたけどね。