もうすぐ、私がサキの近くからいなくなることを。
誰よりも人の心に敏感だから。
だけどね、私だってバカじゃない。
本当のことを言って
サキを傷つけることはしたくない。
サヨナラさえ言わずに行ってしまう私を許して。
『なに辛気臭いこと言ってんの?
私とサキはこの先、何も変わんないよ』
ごめんね、ウソをついて。
怖くて、言えなかったんだ。
今までサキと過ごしてきた日々が消えてしまいそうでたぶん優しいサキのことだから私が出ていくことを知ってしまったら、きっと心配するから。
最後まで私たちらしくいたかったんだ。
それに……もし出ていくことを話してサキに行くことを止められてしまったら私はきっとここに残りたくなる。
だから、だから……言えない。
ごめんね、サキ。
『だよな。
俺もずっとナツといたい』
あぁ…もうそんなこと言われたら期待するし、サヨナラがますます嫌になるじゃんか。
だけどね、ちょっとだけサキが私のことを特別に想ってくれているんじゃないかって思ってるんだよ。
泣きそうになるのを必死に
我慢して澄み渡る海をジッと見つめる。