それでもキミが好きなんだ



そんなこと痛いほど分かっているのに、無理だってちゃんと頭では分かっているけど、時間を巻き戻せたらいいのに───。


そう、叶うはずもない無謀な願いを私は今日もバカみたいに祈り続けている。


掃除を終えたのにサキはなかなか帰ろうとはせず、何を思ったのか教室のグラウンド側で一番後ろの席、つまりは私の席の椅子を引いてなんの躊躇もなく座ったのだ。


そして、頬杖をつきながら外で練習している野球部のことをジッと見つめている。


「……どうしたの?」


急にどうしたんだろう。

サキはグラウンドを見ているはずなのにもっと、もっと遠くを見ているように思える。


「んー」


その答えは濁されたので、サキがどうして私の席に座っているのかは不明のまま。


だけど、やがてサキの視線が誰に向けられているものなのか気づいてしまった。


ああ、その瞳はもう二度と私が独占することはできないのかな、と切ない想いが胸を支配する。


「あー!分かった!
琴音は陸上部だから見てるんでしょー」


なんでもないかのようにわざと明るく言いながら、私はサキが座っている前の机にサキのほうを向いて腰を下ろした。


琴音は昔から運動神経が良くて、陸上部だった。


今も陸上をしているらしい。今日のお昼休みにクラスメイトと話しているところを聞いた。