確かにサキと私の家はすごく近くて帰り道だって一緒だけど……


「琴音は……いいの?」


私がそういうとサキはわかりやすく表情を曇らせた。


たぶん、気にしているんだろうな。

私だって一緒に帰りたくないわけじゃない。

むしろ、サキと二人で帰りたい。


だけど、彼には彼女がいるわけでそう簡単に昔のようにずっと二人で入れるわけじゃない。


「……ナツは一緒に帰りたくない?」


「えっ……」


「いや、違うな。
俺が久しぶりにナツと帰りたいんだ」


サキはそんなことを聞いたらきっと私が困るだろう、と思ってこんなことを言ったんだ。


「……今日だけね」


なんて、可愛らしくないなあ。


でも、これ以上サキの近くにいたらきっと私はサキが欲しくてたまらなくなってしまうから。


「おう」


三年前は何も気にせず、当たり前かのように毎日一緒に帰って、笑い合っていたのに。


それがどれだけ大切な事だったのか改めて実感させられたよ。


どんなに願ったって時間は戻らないんだから。