『あー、早く海に入りたいなあ』
『だなー、俺暑くて溶けそう。
ほら、テストも終わったことだし乾杯しよーぜ』
サキは私に優しい笑顔を向けた。
その笑顔にトクンと胸が大きく高鳴った。
その笑顔に答えるように私は一度だけ頷き、同じように笑い、袋から2本ラムネを取り出してそれぞれ、玉押しでビー玉を上から強く押し込むと、しゅわ〜という爽やかな音とともにコロン、とビー玉が下に落ちた。
『カンパーイ』
『お疲れさまー!』
ラムネの瓶で乾杯するとカラン、という可愛らしい音を奏でた。
ぐいっ、とサイダーを飲むと喉がひんやりと冷たくなる。それがたまらなく美味しい。
『はー、うま!』
『夏のラムネは最高!』
空を見上げれば、どこまでも続く水色の空に白いペンキで雑に塗りつけられたような雲が広がっている。
はぁ、いい天気だ。
私たちは他愛もない会話をしながら
少しずつ、自分のラムネを飲んでいく。
そんな私たちを青い海は優しく波打ちながら見守ってくれている。
『なぁ、俺らさ……大人になっても
こうやってバカやってられんのかな』
ぽつり、とサキが弱々しい言葉をこぼした。
もしかしたら、サキは気づいているのかもしれない。