私は本当に大バカものだ。都合のいいやつだ。


たくさん傷つけといていまさら逃げてくるなんて。


こんなにも拒絶されて当たり前だよね。


「……ごめんね。ほんとに」


「謝るくらいなら…戻ってくるなよ!」


「うん、私もいまさら卑怯だって分かってたよ。
だけど、私にはみんなしかいなかった……なんて聞こえのいい言い訳だね。本当のことを言ってくれてありがとう」


こぼれ落ちそうな涙を下唇を噛み締めて堪えながら私は言った。


「…いや、俺もつい言いすぎた…悪い」


我に返ったのかハッとしたような顔をしてから自分の後頭部を触り、視線をおぼつかせながら言った健吾。


きっと、長年私にぶつけたかった言葉なんだろう。


「ううん。悪いのは全部私だから」


「……俺もさっきはあんなこと言っちまったけど、今の夏葵を見てなんか咲都が怒れないのも分かる気がする」


「え?」


「だって、お前って昔から人に弱いところ見せないだろ?」