『おい、やめろよっ!
髪型が崩れるだろ!』
『いいじゃん。
最初から大して綺麗じゃないんだから』
セットしてなくても どんなにボサボサでも
サキがどこの誰よりも一番カッコいいよ。
なんて、思っていることは心に秘めておこう。
『うるせぇ』
『あっ、ほら着いたよ』
私とサキしか知らない秘密の場所。
小さな波がキラキラと初夏の太陽を照り返し、どこまでも青く、太陽の光を受けて澄み渡るような青色をしている。
海だけど、かなり狭い道の奥にあるから車で来るには少し困難な場所だし、わざわざここまで足を運ぶ人はいないために私にとってもサキにとっても特別な場所なんだ。
夜になれば、満天の星がまるで画鋲で空にとめられているかのように綺麗に空を飾る。
『んじゃあ、行くか』
自転車を近くにとめて、二人で堤防の隅にちょこん、と座りどこまでも広がる青を目に焼き付ける。
この場所は私たちがまだ小学校低学年の頃にちょっとした冒険をしていた時に見つけたのだ。
『はぁー、ここはいつ来ても気持ちいいね』
『そうだな』