それでもキミが好きなんだ




「あたりまえだろ。
ナツがかかってんだから」


そんな言葉をよく恥ずかしがらずにするり、と言えるものだ。

私だったら絶対言えない。
でも、そんな素直すぎるところがサキのいいところでもある。

いつもその素直さに助けられているのも事実だし。


「……ありがとう」


急に照れくさくなって、ぼそりとお礼を言うけど、とてつもなく可愛くない言い方になってしまった。

サキはこんな私のどこがいいんだろうか。


「こちらこそ」

「サキのおかげだよ」

「お前って急に素直になるよな」


照れくさそうにくしゃり、と髪の毛を触るサキ。
その頬は少し赤く染まっていることに気づき、私まで体温が上がり、顔が熱を帯びていくのがわかる。