それでもキミが好きなんだ




「お母さん。私ね、ずっと我慢してた。
苦しかった。辛かった……っ」


息をするのも苦しくて、何が楽しくて毎日生きているのかわからなかった。

だけど、大好きなサキのことを、大好きな友達のことを考えると生きていたいと思えた。


「私……まだみんなといたいっ……!
サキと一緒にいたいよぉ……」


その瞬間、サキが優しく私の手を握ってくれた。
温かくて大きなぬくもりに心の底から安心する。

スマホ越しにお母さんがすすり泣く声が聞こえてきた。


『言ってくれてありがとう……っ
いつの間にか夏葵はちゃんと成長してたのね……。
お父さんには私から伝えておくわ。
でも、お母さんも寂しいからたまに帰ってきてね?』


「うん……っ、ありがとう」