それでもキミが好きなんだ




それはきっと、ちゃんとお母さんと話し合えということだと思う。

だから、私は黙ってスマホを受け取る。


「お母さん、久しぶり」

『夏葵……元気そうでよかった』

「うん……元気だよ。
突然にいなくなってごめんね。連絡も無視して……ごめんね……っ」


お母さんの優しい声に思わず涙がこぼれ落ちる。
何も変わらない、優しくて包み込んでくれるような声色。


『ほんとよ……心配してたんだから。
でも、お母さんこそごめんね。
夏葵が苦しんでたのに助けてあげられなくて。
お父さんも反省してた』


勉強には厳しいお父さんだけど、いつもは優しい人だから私が苦しんでいたことを知って、きちんと分かってくれたのかもしれない。