涙もろいし、困っている人がいたら放っておけないし……私の変化にいち早く気づいてくれる。


そんなきみも、一つだけ知らないことがあるんだよ。


私はね、ずっーと幼なじみのように育ってきたきみ──…サキが好きなんだ。


『はいよ』


『お前、太った?』


せっかく、人がいい気分になっているというのにこの男はそんなのお構い無しに涼しい顔をして失礼なことを投げかけてくる。


しかも、体型のこと……
ちょっと気にしてるのに……


『は?マジ自転車から突き落とすよ?』


『うわぁ、怖い怖い。
お前ならマジでしそー』


『そこまで鬼じゃないし』


『ふはっ…んなの知ってるっつーの。
しかも、太ったなんて嘘だから、気にすんなよー』


まったく、調子のいいやつ。

だけど、その言葉に安心してしまった自分が一番単純で調子のいいやつなんだろうなぁ。


『つーか、もっと太れ。
お前は痩せすぎ、そのうちガイコツになんぞ』


ぷっ…ガイコツって。
せめて、ミイラとかにしてよ。


本当にサキといるときは何も考えなくていいから楽で心の底から笑っていられる。


どんなに辛くても、現実から目をそらしたいと思うことがあっても、サキの隣ではいつだって笑っていられたんだ。