「……ナツが苦しんでたこと、おばさんも知ってますよね?」
『……ええ。昴くんから聞いたわ』
お母さんもお父さんも知ってしまっているんだ。
私の黒く、深い傷を。
「おばさんがいちばんよく知ってると思いますがナツはお人好しで自分の意見を素直に言えないやつです。一人で苦しんで泣いちゃうようなやつです」
サキ……。
『……』
「俺はそんなナツをこれから先も
守ってやりたいってすげー思いました」
サキの言葉に迷いはなかった。
そんなサキの想いにまた涙が溢れてくる。
私は何度この男に泣かされれば気が済むんだろう。



