それでもキミが好きなんだ



「いいから」


サキはそういうと、私のスマホを耳の横に持ったきた。

まさか……電話するんじゃないよね?


『もしもし……!?夏葵?!
あなたいつ頃帰ってくるの?お母さん、東京駅まで迎えに行くね。もう新幹線には乗った?』


久しぶりに聞くその声。
私のお母さんの声だ。

お母さんが一生懸命仕事を頑張りながら、私を悲しませないように愛情を注いで育ててくれたことを感謝している。

疲れてても弱音吐かずに笑ってたお母さんを見ていたからこそ、再婚を反対できなかった。

私はお母さんに幸せになって欲しかった。
たとえ、それで私が不幸になったとしても。

そう思っていたけど、私の心はそんなに強くなかった。弱くて、逃げ出してしまった。

連絡も返さずに心配かけたことも申し訳ないと思っている。
いじめられていたことや勉強が嫌になっていることを素直に話せなかったのもお母さんに心配をかけたり迷惑をかけたくなかったから。