それでもキミが好きなんだ



「ズルいよ……っ」

「うん、俺はズルいよ」

「バカ……っ」

「そんなの知ってたくせに」


サキは本気で私を引き止めてくれている。

私はこの手を掴んでもいいの?

だけど、それを両親は許してくれるんだろうか。


「ずっと好きだった……っ」

「……俺も。
だから、これからは彼女として
俺のそばにいてくんないかな?」

「……」


頷くことができない。
だって、もうすぐさよならして会えなくなるんだよ?


「スマホ、貸して?」

「え?」


サキに言われるままに私はキャリーケースとは別の肩からかけている小さなカバンに忍ばせていたスマホをロックを解除して渡した。


「何するの?」