最後に記念写真を撮って家を出た。
二人は駅まで送ってくれると言ってくれたけど、私はそれを断った。
だって、そんなことになったら離れることが辛くなるから一人で向かいたかった。
健吾と琴音もそうだ。
見送りはいいといってある。
ただでさえ、離れたくないのにみんなに見送られると余計に離れたくなってしまうから。
「……さよなら」
別れを告げ、駅まで歩き始める。
大好きな街並みをこの目に焼き付けて、たくさんの楽しい思い出や悲しい思い出を胸に刻みながらゆっくりと歩く。
そして、目的地の駅が見えてきて改札を通ろうとしたとき、後ろから「ナツ……っ!」と聞き覚えのある愛おしい声が聞こえてきた。