「ありがとう!!」


そういうと、琴音はピースサインを俺に向けた。

いろんな人に支えられていると実感できた。
俺たちの絆は俺が思っていたよりもはるかに固い。

だからこそ、俺はナツに会わなきゃいけない。
これで終わりになんてするわけねえ。

想いが体を駆け巡り、力へと変わる。

ぐいん、ぐいんとスピード上げる自転車。


「ナツー!!!好きだー!!!」


周りのことなんて気にせずに俺は叫んだ。
バカにされてもいい、不審な目を向けられてもいい。

そんなことちっとも気にならないほど今の俺にはナツしか見えていない。

自転車を漕ぐこと、10分。
俺はナツがいるという駅にたどり着いた。

自転車を少し離れた駐輪所に停めてから、ドクンドクンと鼓動を高鳴らせながら走っていると視界に愛おしい人の姿が映った。

淡いピンク色の大きなキャリーケースをゴロゴロと引きながら改札へと向かって歩いているみたいだ。

ナツだ……よかった。まだこの街にいてくれた。

喜んでいる暇もなく、俺は愛おしい人の背中を追いかけた。