「……そんなふうに見えてたんだな」
「……咲都はそれでいいの?
このまま夏葵と会えなくなってもいいわけ?」
「いいわけねえだろ」
「だったら、引き止めろよ。
一回後悔してんだろ?夏葵だって本当はお前が引き止めてくれんのを待ってんじゃねえの?」
健吾が俺の胸ぐらを掴み、力強くそう言った。
「でも……」
「でも、じゃねぇよ。
こんなとこでグズグズしてる暇はねえだろ!
早く行かねえと本当に夏葵に会えなくなるんだぞ」
「……」
「今日の昼に夏葵、あっちに帰るってさっきメッセージきてた。お前がほんとに夏葵のことが好きなら行け!早く!」
健吾の熱い思いがひしひしと伝わってくる。
今日の昼って……今、12時過ぎだから
もしかするともう帰っちまったかもしんねえ。
そんなの、嫌だ。
このまま、終わりたくねえ。
ちゃんとナツの口からナツの気持ちを聞きたい。



