「で、何が知りたいの?」

「え?」

「どうせ、夏葵のことでしょ?
この前、遊んだ時になんか言われた?」


さすが、健吾。鋭い。


「なんで俺とナツは一緒にいられねえんだろう」


ぽつり、と言葉を紡ぎ出す。


「……」

「やっと、好きって伝えようとしたら、もう向こうに戻っちまうなんてさ、あんまりだよな……」


掴もうとしたら、するりするりと俺の手のひらからこぼれ落ちていく。

こんなにも好きなのに……どうして届けられないんだよ。


「聞いたんだ。向こうに戻ること」

「この前、遊んだ時にな」


ナツが泣いている姿が、ナツを抱きしめた時の体温が、切なげな笑顔が、海を眺める綺麗な横顔が、ナツのすべてが俺の中に焼きついていて、忘れられない。