「ナツ……!俺はお前のことがずっと好きだから!つーか、するなら……口にしろよ、バーカ!」
震えた大きな声でそういったサキの言葉が玄関の扉越しに聞こえてきた。
……バカっ。
私だってこの先、きみ以外を好きになることなんてないよ。ずっと、ずっと大好きだから。
好きだから、さよならしたんだよ。
サキが私から離れて他の女の子と恋できるように。
それに、口になんてしたら私が離れられなくなるんだよ。ほっぺたが精一杯だった。
そんなことくらいサキだって分かっているくせに。
でも、そんなふうに返してくるあたりサキらしい。
最後の最後までサキはサキだね。
「……大好きだよっ、サキ。バイバイ」
私はこの未完成の恋に終止符を打つ。
私のすべてだった、サキ。
きみに、幸あれ。