「ほらほら、しっかり前見て運転してー。
じゃないと、また転けそうになるよ」
「うるせぇな。
そんなこと言ったらわざと落とすぞ?」
「そんなことしたら自転車だけ盗んで置いて帰るよ?」
「うわあ、窃盗じゃん」
「確かに」
おかしくて、二人ともぷはっと噴き出して笑う。
こんなくだらないことで笑い合えるのもあと少し。
本当はずっと、くだらない話をしてサキと笑い合いたい。
「あー、笑った笑った」
「誰かさんのせいで笑い止まんなかった」
「マジでそれな」
ああ、どうか。
この時が一秒でも長く続きますように。
もっと、愛おしい人といられますように。
私がいなくなっても、彼が笑って幸せだと言えますように。



