私はサキに「好き」だと伝えちゃダメなんだ。
だって伝えてしまったら、離れたくなくなるから。
サキをまた傷つけてしまうから。
「夏休みなんてさ、あっという間だったな」
「だね」
「ナツがいたから余計に早く感じた」
「またまたぁ」
内心、喜びながらも照れ隠しでサキの背中をポンッと叩いた。
いきなり叩いたからなのか、自転車はぐらっ、と揺れてバランスを崩した。
「おわぁっ!危ねぇな!
転けても知らねーよ!?」
なんとか、立て直し転ばずに済んだ。
さすが、運動神経がいいからこういうのも立て直すの上手いなあ、と感心する。
「転けたらサキのせいにしてた」
「おいおい!お前のせいだろ!」



