「サキと私はどうやっても……っ」
───結ばれない。
言い終わる前にふわっと抱きしめられた体。
突然のことすぎて、何も言葉が出てこない。
「サキ……?」
やっと、出た言葉は愛しい君の名前。
「……それ以上は言うな」
苦しそうに呟いたサキの声はとても弱々しかった。
どうして……どうして今抱きしめたりなんてするの?
そんなことしたら余計に忘れられなくなる。
その温もりが、優しさが恋しくなってしまう。
「……離れてよ」
そう言ってみるものの
サキは一向に離れようとはしない。
「離れてってば……!」
「嫌だ。離さない。
もう離したくない。
叶うならずっとこのままこうしてたい」
「っ、」
今にも消え入りそうで、少し震えた声で言われるとダメだと分かっていても何も言えなくなってしまう。
全身で感じるサキの体温が愛おしくて、離れたくなくて本能のままにサキを求め、強く、強く、抱きしめていた。



