夏休みが終わるまで、あと二日。
今日はサキに誘われ、海に行くことになっている。

泳ぎに行くわけではない。

ただ、思い出にさよならをしにいくんだ。


「……はあ、行こう」


あまり乗る気ではない。

だって、もっとサキを
好きになってしまいそうだから。


「おっす」


外に出ると家の前にサキが立っていた。
私は何も言わずに片手をひょいとあげる。


「ん」


それだけ言われただけなのに、私は当たり前かのようにサキの自転車の荷台に乗った。

サキのことならほとんどなんでもわかってしまう自分が嫌だ。一緒になれないって分かっているのにどうしてこんなにも好きになるんだろう。


「今日も風が気持ちいいな」