「……っ」
「だから、会わないっての撤回しよ」
俺の言葉にナツは静かに左右に首を振った。
そんなところで折れるくらいの俺じゃない。
たとえ、恋人になれなくてもお前と会えなくなるなんてそんなの嫌なんだ。
「昴くんから全部……聞いた」
「え……?」
「ナツが向こうで
どんな生活してたかも全部聞いた」
俺がそういうと、ナツの表情がわかりやすく曇った。俺には、知られたくなかったんだもんな。
「同情なんて、いらないから」
「……またそうやってすぐ強がる」
強がって言い切った彼女をそっと包み込む。
すっぽりと俺の腕の中に収まる彼女をとても愛おしく感じる。
「やめてよ……っ」
「やめねぇよ。だってナツ震えてるから」
きっと、思い出して恐怖で震えているんだろう。
本人は気づいていなかったのか「そんなわけない」と首を振る。



