「これからは友達としてよろしくね。
ってことで、早く夏葵のところに行ってきなさい!ずっと会いたかったんでしょ?ほら!」
勢いよく手を振る琴音。
そんな琴音の言葉に俺は感謝しながら頷くと、また走り出した。
「……咲都のバカっ……私もほんと好きだったよ」と琴音がたくさんの涙を流しながら呟いていたことなんてすぐに走り出してしまった俺の耳には届かなかった。
◇
「ナツ……っ!」
家まで走っている途中、愛おしい背中が視界に入り、思わず叫んだ。
すると、振り返ったナツは戸惑いの表情を浮かべながら「……サキとはもう会わないって言ったじゃん」と言った。
確かに言われたけど、もう耐えらんない。
「俺、俺……やっぱお前に会えないとか無理」



