それでもキミが好きなんだ



「ここからは何となくわかるから。ありがとう」

「そっか。んじゃあ行ってくる」

「いってらっしゃい」


優しく手を振る昴くんに俺も手を振りながら琴音の家まで走り出した。

先にちゃんと琴音との関係にケジメをつけなきゃなんねぇ。

きっと、傷つけてしまう。
だけど、俺がこのまま中途半端に付き合っている方が琴音の幸せを奪ってしまう。

家に着くと、インターフォンを鳴らす。
少ししてからガチャとドアが開いて中からラフな服装をした琴音が出てきた。


「よっ」

「咲都?いきなりどうしたの?」


突然来たから俺の顔を見るなり、驚いた表情を浮かべる琴音。


「……話があってきたんだ」


そう言うなり、琴音の瞳が切なげに揺れた。
そして、ぎこちなく笑いながら口を開いた。


「奇遇だね。私も話があったんだ」

「え?」

「私から話してもいい?」

「あー、いいよ」