それでもキミが好きなんだ



「俺はみんなに幸せになってほしい。
俺はよそ者だけど、夏葵を見ててわかったよ。
みんな互いに大切だと思っているんだなって。そんな関係って素敵なことだなあってさ」


穏やかに微笑みながら言う昴くん。

優しく俺の背中を押してくれているんだと思う。
だったら、俺はそれに応えてナツに会いにいかないといけない。

琴音にも本当のことをちゃんと言おう。
もう逃げない。目を逸らさない。


「ありがとな……お前のおかげで決心できた」

「うん。頑張れ」

「そろそろ、戻るか」


本当は今すぐにナツに会いたいけど、都会から来た昴くんを一人で帰すのは危険だと思ったから一緒に帰ることにした。