途中で、情けない道に走ってしまったけど、こうして今元の道に戻れたのは琴音と健吾のおかげでもあるけどナツの存在が大きかった。
きっとあの頃の俺を見たらナツは悲しそうに笑うと思ったから。それにバスケをしている俺をかっこいいと褒めてくれたことがあったから。
単純だって思われたっていい。それでいいんだ。
恋なんて、単純でいい。
複雑になればなるほどわからなくなるんだから。
「それ、ちゃんと夏葵に言ってやってよ」
「……ダメだ。俺たちはもう会わないって……」
「それって本心じゃないよね?」
そりゃあ、本心じゃない。
今だってこんなにもナツのことで頭がいっぱいで会いたい。
だけど、俺には琴音がいる。
ナツと約束したんだ。琴音を幸せにするって。



