「ほんとに…俺……
ずっとナツに会いたかった」


弱々しい、今にも消えてしまいそうなほどの声量で、なおかつ、真剣な瞳が彼の想いの強さを表しているのが分かる。


……私も、死ぬほど会いたかったよ。


「……」


なんて、言えるわけがない。


「だから、今こうしてナツに会えてすげー嬉しい」


「…っ、わ、私は嬉しくない!」


嬉しいくせに。
三年間ずっと忘れたことのなかった人。
ずっと会いたいと願っていた人。

そんな人に会えて嬉しくないわけがない。


「うん、いいよそれでも。
でもせめて、連絡先ぐらい交換しよーぜ」


サキは嘘ばっかり。
本当は傷ついてるのに笑ってる。


いつからそんなふうに
嘘をつくのが上手くなったの?


でも、ずっと一緒にいた私のことは騙せないよ。


「…嫌だ」


「スマホ貸して」


そういうと、ポケットに入れていた私のスマホを勝手に取り出して、自分のスマホをいじる。


「はい、これで完了。
また連絡するわ」


それだけいうと、手を離して走って帰っていった。


だけど、私は気づいてたよ。


連絡先を交換したとき、サキの顔が喜びと悲しみに染まっていたことに。