それでもキミが好きなんだ




「ナツが全国に行ったのって中二?」

「そうだよ。三年もいる中で二年がレギュラーなんて無理だって言われてたけど夏葵の血の滲むような努力が実ったんだよ」

「そんな……っ」


まさか、ナツが本当に全国大会に来ていたなんて。
俺があのとき怪我さえしていなければナツに会えた。

俺たちは一年すれ違ってしまったんだ。

ナツは中学二年、俺は中学三年のときに全国へ。

こんな残酷なことってあるのか……?

知らされた真実に胸が痛くなり、現実を疑いたくなった。

神様のいたずらはどこまでも俺たちに残酷だ。


「それから夏葵は変わった。
男たちと遊ぶようになって……たぶん君を忘れるのに必死だったんだと思うよ。夜になって一人で部屋で泣いてるのを何度も見たから」


そうだ。ナツは昔から人前では泣かない。

本当は辛いのに、本当は苦しいのに……それを自分一人の中で解決しようとして人を頼らない。

我慢して、耐えきれなくなって一人で泣くんだ。


「君からもらったって自慢げに話してたビー玉を握りしめながらね」


ビー玉……それなら俺も今も大切に持っている。