それでもキミが好きなんだ



「俺がいうのもなんだけど、
夏葵のこと許してやってほしい」


真剣な瞳でまっすぐに俺を見つめる昴くん。

許すもないも……俺はナツを恨んだことも憎んだこともない。ただひたすら純粋に好きだったんだ。

そりゃあ、突然いなくなるから心配して、たくさん傷つけられたけど嫌いになったことは一度もない。


「夏葵は、色んなものを
捨ててここに来たんだと思うよ」

「……え?」

「夏葵にはここしかなかったんだ。
君たちの住むこの街が最後の居場所だったんだよ」


最後の居場所……?

夏葵はあっちでも
楽しくやっていたんじゃないのか?

だって、俺が向こうに行った時、他の男と楽しそうに笑いあっていたじゃないか。