「気づいた?
俺は夏葵のお母さんの再婚者の息子だよ」
「……そんな……いつ、いつ再婚したんだ?」
「三年前。まあ、籍を入れても夏葵が苗字は変えたくないっていうから“辰巳”のままだけど」
三年前ってナツが俺たちの前から姿を消した年じゃねぇか。
ナツの本当のお父さんは事故で亡くなっていて、母親とばあちゃんたちで暮らしていたけど再婚したんだ。
きっと、まだ中学生だったナツは母親について行くしか選択肢がなく、この街を去ったんだ。
……そんなこと、当時も今も一つも言ってこなかったじゃねーか。
一人で必死にもがいて悩んでいたんだろう。
ナツと会った最後の日、様子がおかしいことに気づいていたのにどうして問い詰めなかったんだろう。
いろんな後悔の波が一気に押し寄せてくる。