「ダメですか?」
「いや、話しましょう。
つーか、タメで大丈夫です」
「わかりました。僕もタメで大丈夫」
「了解。場所は俺が決めていい?」
「うん。そうしてくれるとありがたい」
どこにしようか。
こいつはナツの何を知っているんだろうか。
どんな話をされるんだろうか。
いろんな疑問が頭に浮かんでくる。
結局、迷った挙句来たのは
ナツとの思い出の場所……海だった。
もうここに来ることはないと思っていたのに、俺の決意は簡単に揺らいでしまう。
海について堤防に腰を下ろすと、昴が青く輝く海を見つめながら意を決したようにゆっくりと口を開いた。
「俺ね、夏葵の弟なんだ」
「……は?」
ナツは一人っ子だから、弟なんていなかったはず……って、もしかして……おばさん再婚したのか?