「それ、思い出したんだと思う。
いつかまた夏葵がここに戻ってきたときにいつも通りの俺でいなきゃ夏葵に合わせる顔がないって言ってまたバスケを始めたの」

「っ、」


何よそれ……。

私が戻ってくる可能性なんてほんの少ししかなかったはずなのに。

どうしてそれをバカみたいに信じていられるの?
そんな、約束もしていないことまで。


「夏葵との思い出が咲都を奮い立たせたんだよ」


健吾が少しさみしそうに嬉しそうに笑った。


「ほんと、夏葵には一生敵わないや」


溢れ出る涙を抑えながら悔しそうに笑った琴音。


「……琴音、ありがとう」

「私こそいつも守ってくれてありがとう」