「気がつけばサキのことばっかり考えてて……考える時間が多くなるほど会いたくなって、一瞬だけでもいいから顔が見たくて……っ」
ポロポロ、とこぼれ落ちる涙を目の前から伸びてきた手が優しく拭った。
「何それ……っ、ほんとに、大好きなんだね」
そう言ったのは涙で顔がぐしゃぐしゃになった琴音だった。
「琴音……？」
「ごめんね。本当は心のどこかで分かってたんだよ……夏葵を責めても無駄だってことくらい……だって咲都ってば夏葵の話をするたびに苦しいくせにどこか嬉しそうに話すんだもん」
「ほんと、あんたたちの初恋こじれすぎ」そう言いながら呆れたように笑った。
その笑顔は昔と同じようなキラキラとした笑顔だった。
