それでもキミが好きなんだ



「やっと……やっと前の咲都に戻ってくれたのに……どうしてまた現れたの!?どうしてまた咲都を苦しめるの…!?」


「琴音……もうそのへんでやめておけ」


健吾が私の服にしがみつく琴音をそっと引き離す。

きっと健吾はもう冷静に物事を捉えることができている。さっき私にキツい言葉を浴びせたのだって、サキのことを好きだという私のことを信用してくれていたからこそ出た言葉だと思う。

だからこそ、今こうして複雑そうな表情を浮かべて私を見ているのだろう。


「うぅ…っ」


たくさん苦しんでいたサキを見ていたから、こんなにも琴音は私を恨んで許せないんだ。

私だってきっと琴音の立場だったなら許せないもん。

ただ、一つ言いたいことがある。


「……私が今こうしてここに立って息をして、生きているのはサキたちがいたからだよ」

「……何言ってるの?綺麗事なら聞きたくない」


拒絶されたって仕方ない。
だけどこれだけは言いたかった。