それでもキミが好きなんだ



「……そこに夏葵の姿はなかった」

「っ、」


そりゃあそうだ。

そのとき私はもうバスケをしていなかったんだから。サキに会える希望もなくて毎日を死んだように生きていたんだから。


「おまけに……咲都は見ちまったんだよ。
お前が知らない男と仲良さそうに歩いてるのを」


あのときの私はサキを忘れなきゃいけないという気持ちでいっぱいだったから、ほかの男の子と付き合ったり、別れたりを繰り返していた。


こんなの言い訳に聞こえるかもしれない。
だけどね、その一年前に私もサキと同じ舞台にいたんだよ。

私もサキと同じ考えで親に一年だけバスケがしたい、と無理にお願いをして一年間サキにもう一度会いたい一心で本気で練習を頑張った。

幸い、うちのチームはバスケの上級者ばかりでチーム自体は強かったから無事に全国大会にいけたんだ。