「おばあちゃん、ちょっと散歩してくるね」
「……気をつけてね」
心配そうに見つめるおばあちゃんを安心させるために「この人は大丈夫。向こうで私が唯一信用していた人だから」そういうと、おばあちゃんは「そうかい」とだけいうと、優しい笑顔で手を振った。
どうして、こんなにも温かい家庭に生まれてこれなかったんだろう。もし、まだお父さんが生きていたなら私も愛に包まれた生活を送れたのだろうか。
「久しぶりだね」
外に出て、二人でゆっくり歩く。
こうして昴くんと歩くのはとても久しぶりというか会うこと自体久しぶりだ。
こっちにきてから家族からの着信も連絡もすべて絶っていたから。
もちろん、昴くんとの連絡も。
「なかなか戻ってこないし、
連絡もつかないから心配してたよ」
「ごめんね」
「二人も心配してたよ」
「……うん」
新しいお父さんは嫌いじゃない。かといってとびきり優しいというわけでもない。お母さんと幸せそうにしているのはいいことだと思うけど、教育熱心ですべてを自分の思い通りにさせようとしてくるところが嫌。



