拭っても、拭っても幾度となくこぼれ落ちてくる涙を止める術を私にはもうわからなかった。

ただ、涙を流した。
涙の誕生日になっちゃった。


「あー……好きだった、ほんとに」


ぽつり、と呟いたサキへの想いはミーン、ミーンと元気よく鳴くセミの声にかき消された。

よし。このことは早く忘れてショッピング行こう!
せっかくの誕生日なんだから。

私たちは昔のようには戻れなかった。
過去は所詮過去で、同じ時なんて流れない。

だから今日、私とサキは過去にさよならをしたんだ。
大切だった、大好きだったあの時間を手放した。


「今日は、占い一位だったのになあ……」


きみのせいで毎朝見るようになった星座占い。
それも今日で最後にしないと。

流れる涙を止めて、ショッピングモールで洋服を購入して、おばあちゃんとおじいちゃんが待つ家に帰った。

バイバイ、私の大好きなサキ。
バイバイ、私の一生に一度の初恋。