サキはそうじゃないのかもしれないけど、私はサキに一度会ってしまうと嬉しさから余韻がすごくてなかなか忘れられないんだから。
「ダーメ」
「はあ?」
「もういいから、帰ろ?」
「……待って」
「なに?」
「誕生日おめでとう。
生まれてきてくれてありがとな」
まさかそんなことを言われるだなんて思っていなかったから思わず言葉を失う。
それにサキと会えなくなるショックの方が大きくて今日が自分の誕生日だということをすっかり忘れていた。
そういえば、私……おばあちゃんからもらったお金でショッピングするつもりだったんだ。
「……ありがとう」
こんなの、アリなの?
別れ際にお祝いするなんて……瞳に涙がたまっていくのがわかる。



