「俺らもう昔みたいには戻れねえみたい」
「……そっか」
それは昔みたいに何も気にせず、何にも囚われずにお互い一緒の時間を過ごすということができないということだ。
琴音という大切な彼女がいるから。
「俺らなんでこうなっちまったんだろうな」
そう言って、私の瞳をジッと見つめたサキの瞳は切なげに揺れていた。
どうして、そんな目をするの?
突き放すくらいならそんな悲しい目をしないでよ。
「ねえ、サキ」
「ん?」
「もう会わないでおこう」
「……」
中途半端に突き放されるくらいなら、中途半端の優しさなら、そんなのいらない。
会わない方が私たちのためなんだから。