「……サキっ……サキっ」


何度も、何度も大好きな彼の名前を呼ぶ。
もう二度と呼べないと思っていた名前。


溢れ出すこの気持ちをきみに伝えることはできない。

お願い、きみだけは何も知らないで。
私のことも、もう知ろうとはしないで。


そう思うのに心のどこかでサキの彼女になれたらいいのにとかもっと、私のことを知ってほしいなんて思っている。


矛盾だらけの心。
凍りついて溶けることのない心。


いつかにかけた鎖が心を締め付けて
もう自分じゃ解放できない。


私はこの街に戻ってきてよかったんだろうか。


また、きみを苦しめるんじゃないかな?


どちらにせよ、もう私とサキは
昔みたいな関係には戻れないんだ。