「いっぱい不安にさせて悪かった……
でも、もうこれからは琴音しか見ないから」
ちゃんと、ナツとのことは思い出にするから。
もうこんなにも琴音のことを泣かせたりしないから。
『琴音のことを守れるのはサキだけなんだよ』
ナツが言った通り、お前のことを守れるのは彼氏である俺だけだもんな。
「ほんと?」
「ああ」
少しホッとしたように、でもどこか切なげに笑った琴音をもう一度ぎゅっと抱き寄せた。
心の中を支配するナツへの気持ちをなかったことにしようと必死でかき消そうとしているのに気づかれないように。
なあ、ナツ。
俺たち、三年前にすべて終わっちまったのかな。
戻ってきてから一緒にバスケしたことも、二人でテスト終わりに海でラムネを飲んだことも俺は絶対に忘れない。



