それでもキミが好きなんだ



「お前を一人にしたら……
またお前がどっかに行っちまいそうで」

「な、にいって……」

「頼むから……もう俺の前からいなくなんなよ」


顔を苦しそうに歪まし、弱々しくそう呟いたサキは再び私のことを引き寄せた。

そんなこと言われると思っていなかった私は何が起きているの分からず放心状態に陥った。

ここにきて、初めてサキの弱い部分というか本音を聞いたような気がする。

たくさん傷ついてごめんね。
たくさん悲しませてごめんね。
突然いなくなってごめんね。

だけど、もう私とサキは戻れないんだよ。
だって、きみにはもう大切な人がいるから。
“琴音”という彼女がいるから。

私なんかよりもずっと辛い思いをしている琴音のことを守ってあげないといけないよ。


「……どこにも行かないよ。私はここにいる」


そういって、体を引き離す。
すると、今にも泣きだしそうな表情をしたサキと視線が絡み合う。

私まで泣きそうになってしまうから不思議だ。