それでもキミが好きなんだ



「早く行ってよ……!
私の涙なんて目にゴミが入っただけだから」


そういって、サキの体を引き離す。
今の私にはどうしてもサキの顔をみることができなかった。

だって、見たらきっとしがみついて『行かないで』って、離したくなくなってしまうから。

想い合っている二人の邪魔なんてできない。
私は所詮、外野なのだから。


「でも……花火大会の日だって
本当はなんかあったんだろ?」

「え?」


なんで、サキってこういうところだけ鋭いんだろう。いや違う。そういうところにだけ敏感になってしまったんだろう。

サキは幼い頃に母親が他に男を作って、家から出ていってしまったのを目の当たりにしている。
あのときのサキは見ていられないくらいで本当に触れてしまえば壊れてしまいそうなほど脆く、弱っていた。

立ち去ろうとするお母さんの手を掴み、必死にしがみついたけど、あっさりと振り払われた手を何度も見つめているところをみては、私は何度も心を痛めていた。

だからこそ、人の気持ちを読み取って感じ取るのが空気を読むことが癖になってしまったんだ。