「ばあちゃんとじいさんはなっちゃんに会えて嬉しいよ。
都会に揉まれて疲れた心を
ここでゆっくり心を休ませなさい」


ふわっと微笑んだおばあちゃん。


ここが私の新しい居場所?

しばらくこの街にいたら
少しは昔の自分に戻れるのかな?


もっと、自分に自信を持つが出来るのかな?
そんな疑問を抱きつつも私はまたおばあちゃんに笑顔を向けた。


「ありがとう」


「いえいえ。
咲都くんともまた仲良くしてあげてね」


「……」


返事をしない私を見ておばあちゃんは今度は悲しそうに笑った。


「咲都くん、毎日のようにここにきて、なっちゃんが戻ってきてないか確かめに来てたんだよ」


「……っ」



お調子者で、正義感が強くて
意地悪で、誰よりも心が脆くて


────…世界で一番優しさに満ち溢れた人



そんなサキだから……
サヨナラが言えなかった。


大好きだったから。もう自分じゃ歯止めが効かないほど好きだったんだ。